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渓はポイントの連続

執筆者の写真: 源水会 仙台源水会 仙台

更新日:2023年12月5日


同行者は北の釣吉さんである。還暦をとうの昔に過ぎているらしいのだが、年不相応の普通じゃないな体力なので、ついていくのが大変だ。自分もあの年になったら、ああなりたいものだ。 枝沢は最初の1滴から始まるルートとなった。本流にたどりつくまでに、ひたすら急な下りだ。辿り着くまでに2時間半もかかってしまい、途中へこたれそうになった。デスクワークで運動不足の身に染みる。来るんじゃなかったと心の中でブツブツとつぶやく。



本流に出るとそこはもうポイントの連続である。これほどポイントが連続する渓流はそうない。そして傾斜が緩やかで高巻きがない。遡行し易い渓流である。竿を出すと次々とイワナが顔を出してくれる。両側は延々とV字谷になっていて、山岳渓流の風景を見ながら、イワナを釣るというのがとても楽しい でものんびりと釣りをするというわけでなく、常に空を見ながら釣り登った。ここのところ、天気はかんばしくない。ここで、水が出たら、身動き出来なくなってしまう。白く広がる雲が鉛色に変わらないかと、常に気にかかる。 北の釣吉さんは、「小さいポイントでイワナを釣るのが好きなんだ。」と言って、細かなポイントを丁寧に探り、イワナを宙に飛び出させている。



餌をあまり持っていかなかったので途中でなくなってしまった。そこで、10年ぶりぐらいに毛鉤を使うこととした。取り出したのは、中ちゃん毛鉤である。源水会会員の中ちゃんが作った特製の毛針だ。大きくて見やすく 食いが良い、釣り人に非常に都合の良い毛鉤である。毛鉤をセットすると、すぐに絶好の毛鉤のポイントが出てきた。鏡に近い水面でゆっくりした流れである。そこに毛鉤を浮かべると、イワナがゆっくりと追いかけてきて、ゆっくりと食った 毛鉤をくわえ戻ろうとした時に、合わせを入れた。水面を割ったのは尺上だった。 納竿してしばらくすると、大粒の雨があたりの風景を灰色に変えた。途端に緊張感が走る。急いで枝沢まで戻るのであった。

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