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  • 執筆者の写真源水会 仙台

2018お盆釣行

更新日:2023年12月5日



メンバー:田森、齋藤、田澤(記) 本記録は、釣行記ならぬ停滞記である。 当初は2泊3日で沢2本を詰める計画であったが、入山前日の天気予報では1日目は早朝から夕方まで強雨との事で計画を変更。 再計画は、1日目に山越えをしてN小屋泊、2日目はK川を詰めてK小屋泊、3日目にのんびり山越え下山という“安全策“とした。 ※先月末に会のメンバー(村上&笠松)がK川を1泊2日で詰めており、苦労話も無い事から、完全にナメきっていた故の“安全策”であった。 入山前日、登山口に21時頃到着。この時点では雨は降っておらず、星や夜景すら見えたのである。予報は若干変わり、翌日の朝9時頃までは何とか天気が持つが、その後は雨が強まるとの事。ということで、ちゃっちゃと酒飲んで早起きしようと車中で小宴会を開始し、23時前には眠りについたのであった。 深い眠りについてほどなく、車が強風で揺れている。嫌な予感は的中し、バタバタバタと雨が車の天井を叩き、やかましくて一向に眠れない。

Day1:


AM4:00、雨は弱まるどころかどんどん強まっており、とても車から出る気になれない。 ここで齋藤さんが有料アプリで山の最新情報を入手すると、夕方にかけて「激雨」と聞いた事が無い表現で威嚇し、ラジオからも例年の8月の雨量を1日で超えたなど、警戒心を煽る情報ばかりが流れている。尚、風速は24mとの事であるが、瞬間風速は1.5~3倍と言われているから想像に耐え難い。 ここで最も精神的に安定していたのは、田森さんであった。行動が決まるまでは無駄な動きはせず体力を温存すべきという事か、シーツを体にかけ、仰向けになりただジッと目を瞑っている。眠いわけではない、ただただ合理的な漢なのだろうと悟った。 AM7:00、いつまでも車で待機していても状況は変わらず、初日のN小屋までは順調に行っても山道歩きで7時間はかかる為、出発するならここで決めないといけない。 3人で話し合った結果、入山を決意。 AM7:40、完全防備し記念撮影後、山へ入る。 大雨で登山道は沢となっていたが、一度歩き始めたらあまりの悪天候で一同から笑いが起こる。どんな状況でも山を楽しむ事ができる素敵なメンバーである。 越えるべき山の頂上に近づくにつれて、次第に強風から暴風、突風も吹き付け、雨具の上からでも雨が当たると痛い。大きいザックが風に煽られよろけながら、何とか山頂へ辿り着く。 山頂にはもちろん登山者など誰もおらず、次第に雷も鳴り始めた為、休憩もそこそこにK川の谷まで降る事にした。ところが、この降りが標高差1,000m以上ある事はあまり頭に入っておらず、この後齋藤さんの膝は逝ってしまうのであった。 山頂から200m程下降すると、普段は枯れ沢のはずのG沢源頭が大暴れしている。山の尾根はすぐそこに見えているのに、これほどまで大増水するのかと驚きと不思議な気持ちで感動する。


もうこの時点で道中のK川で岩魚調達は不可能と察した(諦めが遅い)。 しかし、この下降は長い。雷雨暴風とあっては余計に長く感じる。 田森さんは道中、登山道から外れて水浸しとなった草原を笑顔でバシャバシャ歩き、気持ちが良いと言っている。雷や大雨への恐怖心は無いのだろうか。 そうこうして3時間程下降し、K川まで降り立ったが、案の定まっ茶色の大増水で釣りは断念。


齋藤さんの膝も召されてしまい、早々に目的のN小屋に向かうが、再び登り返しが約1時間、まさに避難小屋へ避難した。 小屋に到着したのがPM2:30頃、びしょ濡れの荷物を乾かし、岩魚無き宴会の支度をする。 小屋入り口に囲炉裏?があり、軽く火を熾してみるが一瞬で小屋内に煙が充満し目も開けられない。 齋藤さん命名モクモクハウス。



DAY2:

朝方、半袖で床に寝てしまっていた私は寒さで目覚める。まだ雨音が激しく、沢に降りたところで釣りになるとは思えない。 AM4:00、一応起き上がり、外を眺めたりそわそわしてみる。 齋藤さんも起きて外を見るが、強風で横殴りの雨である。田森さんは、目覚めてはいるが寝転び目を瞑っている。停滞を見込んでおり、無駄な体力を消耗しないと決め込んでいるのだろう。眠いわけではない、ただただ合理的な漢なのだろうと前日に続き悟る。 AM6:00、停滞を決心し酒を飲み始める。やる事がないので、お互いに動画を撮ったり、馬鹿話をして過ごす。ところが、飲みきれないほど持ってきたはずの酒が、停滞とあればみるみる無くなっていく。今晩の酒が無くなる事を心配し、昼前に仮眠。 14時頃起床し、外を見ると雨が小降りになっていた。食料の心配もあり、私は雨具を着てN沢源頭に釣りに行く事にした。田森さんもやっと外に出られる環境になった為に周辺散策へ出かけた。齋藤さんは膝が回復せず停滞を決め込む。 私はN沢へ向かう途中、真新しい熊糞を2山ほどみかける。1山目は見事に踏みつけてしまう。ホイッスルを吹きながら藪を漕いで源頭に降りる。普段はテンカラの私も、濁り水とあっては餌釣りを選択した。途中、腰上まで浸かりながら遡行し、今晩のおかずを求めたが魚信は無く、夕方に小屋に戻る。小屋で濡れた荷物を乾かしていると、あれ!?2本あったはずの竿が1本無い・・。N沢にテンカラ用の竿を置き忘れた事に気づく。置き忘れた場所が概ね見当ついていたので、翌朝に探しに行く事にした。 田森さんは、最近の熊は釣りをするからねとよくわからない事を言っていたが、再び増水する事はなさそうなので、竿が流される事はないだろうと踏んでいた。 この頃、雨は止み、ラジオからも明日は高気圧に覆われて晴れるとの予報が流れる。 翌朝に水が引いていればK川を詰めて山越え下山しようという事にした。水が引いていなければ、釣りはせず来た道を戻る事になる為、これではただ小屋に酒を飲みに来ただけになるし、あの登山道を登り返し1,000m以上は苦行でしかない。 ただひたすら水が引くことを願い、この日は寄せ集めの食料で宴会し、飲みきれないはずの酒を全て飲み干し、明日に備えて早々に寝た(はず)。

DAY3:

4時前に起きた。いかにも快晴になりそうな雰囲気で、西の空もすっきりしている。 早々に朝食を済ませ、世話になった小屋に御礼しAM5:30頃に小屋を出発。


私は少し先に行き、藪を漕いでN沢に竿を探しに行く。しかし、あるはずの場所に竿はなく、藪をかき分けて探すが見つかる事はなかった。この日は時間も無いので、早々に諦め、田森さん、齋藤さんと合流しK川へ向かった。 K川へ到着し、思わずオーッと声が出た。一昨日見た濁流は、やや増水はしているものの美しい渓相へと変貌していた。


沢を詰める事としたが、距離が長い為にゆっくり釣りをする時間は無い。足早に沢を登っては、好ポイントで竿を出すと、どのポイントからも良型がポンポンと出る。天気は良いし、景観も素晴らしい、のんびりできないのが勿体無いと思いながら、時間を気にしながら駆け上がる。沢を登り始めて約6時間、沢が開けて雪原が見える気持ちが良い場所に出た。ここで沢登りは終了し、記念撮影。



この後は、登山道に出てひたすら頂上まで登り、ひたすら降るだけだ。しかし、この時点で齋藤さんは膝だけでなく、ふくらはぎや大腿ニ頭筋までも違和感を覚えていた。 ここから頂上に登り返すまで3時間半程かかった。この間、齋藤さんがチクショー、ナメてた!と何度も言っては笑わせてくれた。


天気が良かったので、下山は景色を楽しみながらゆっくりと降りた。入山口に戻ったのは18:40頃、この少し前で登山道から素晴らしい夕陽を見る事ができた。 夕陽が水平線に沈むまで3人で見送り、感動のフィナーレで幕を閉じた。



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